介護士とヘルパーって、何が違うの?

昨今、高齢化の進行により、より多くの介護人材が必要になっています。しかし、現状は、6割以上の介護施設で、介護士の数が足りていない、という状況です。ヘルパーの数も同様、需要過多の状態が続いています。そもそも、両者はどう違うのか?今回は、この違いについて、大きく分けて4つの観点から説明していきます。

介護士とヘルパーの違い

1 : 業務内容の違い
2 : 勤務場所の違い
3 : 給料の違い
4 : 必要な資格の違い

1 : 業務内容の違い

介護士の業務内容

主な業務内容は、身体介助と生活援助に分けられます。
身体介助とは、食事の際に箸やスプーンを持つ手を支えるなどしてサポートする、トイレに行けない方のためにオムツを交換する、寝床から起き上がるのをサポートする、などといった仕事です。誰でも想像がつく、介護士の仕事ですね。
生活援助とは、料理を作る、部屋を掃除する、生活必需品の買い出し、洗濯、などといった仕事です。もちろん、こうした家政婦のような仕事もしなければなりません。
その他にも、血圧、脈拍、体温などを測って利用者の健康に異常がないかどうかをチェックしてその数値を記録したり、利用者の状況を介護士のチームで共有したりもします。

さらに、チームリーダーとして別の介護者に指導をしたり、介護責任者として介護チームをまとめたりと、実務以外の仕事も多いです。そのため、マネジメント能力も必要となります。

ヘルパーの業務内容

ヘルパーの主な仕事は介護士と同様、身体介助と生活援助ですが、介護士の指示を仰いで仕事をするため、介護士と比べて実務が多いのが特徴です。

結論

「業務内容」という観点だけから比較すると、介護士とヘルパーは「店長とバイト」のような関係で、基本的な仕事は同じですが、介護士はヘルパーに仕事を振ったり、チームメンバーの状態を把握して、管理する必要があります。

2 : 勤務場所の違い

介護士の業務場所

介護士の業務場所は主に3つで、1つ目は介護付き老人ホーム、2つ目はデイサービスセンター、3つ目は利用者の自宅です。
1つ目と2つ目に関しては、1日職場が変わらないですが、3つ目に関しては、1日に何軒か利用者の自宅をハシゴするケースが多いです。その場合は、1日に大体3軒程度ハシゴすることになります。それぞれの家が近ければいいですが、離れている場合は、移動が大変ですね。求人欄の所在地をしっかりチェックしておきましょう。

ヘルパーの業務場所

介護士と同様、ヘルパーの業務場所も、介護付き老人ホーム、デイサービスセンター、利用者の自宅の3つがメインです。

結論

介護士とヘルパーの業務場所には、大きな差はないと言えます。また、介護業界は仕事上、転勤が少ないですが、完全にないとは言い切れないので、仕事を始める前に確認しておく必要がありません。

3 : 給料の違い

介護士の給料

2019年4月現在、介護士の平均月収は約22万円です。賞与等を含めた年収に換算すると約350万円です。日本の平均年収が約400万円ということを考えると、決して高いとは言えません。
ただ、勤務地が都心なのか地方なのか、老人ホームなどの入居型施設で働くかデイサービスセンターで働くか、などで給料は異なります。また、チームリーダーなどの中間管理職は、比較的給料が高いです。

ちなみに、老人ホームなどの入居型施設で働く場合は月収30万円程度、デイサービスセンターで働く場合は月収20万円程度、訪問介護の場合は25万円程度になります。

ヘルパーの給料

介護士と大きく異なる点は、ヘルパーは「パート・アルバイト」が中心で、正社員として働くケースは少ないという点です。そのため、介護士と比較しても給料は低くなります。
正社員のヘルパーで月収20〜22万円程度、パート・アルバイトでは時給1,500円程度が平均です。パート・アルバイトの場合、月に60時間程度働いて、月収約9万円という計算になります。

ただ、訪問介護の場合で身体介助を担当する場合は、時給2,500円程度に上がることもあります。一方、介護施設のスタッフとして働く場合は、時給1,000円以下になることが多いです。
正社員として働くか、パート・アルバイトとして働くかどうかは、ご自身の生活スタイルと相談して決めるのが良いです。

結論

介護士が正社員中心、ヘルパーはパート・アルバイトが中心ということもあり、給料は介護士の方が高いです。ただ、それだけで介護士の方がいいとは一概には言えず、フルタイムは厳しいが週3〜4で勤務したい方、空いた時間を活用したい方などにとっては、ヘルパーの方がいいですね。ただ、正社員として働こうと考えているのであれば、介護士として働くことをオススメします。

※2019年10月から、介護士の仕事を続けて10年以上経つ方に、国が毎月8万円の補助金を付与することが決定しました。

4 : 必要な資格の違い

介護士に必要な資格

資格の面でヘルパーと大きく異なる点は、介護士は国家試験に合格しなければなれないということです。国家資格なので社会的信頼度は高く、転職の際や給与の面でも優遇される事が多いです。介護福祉士の国家試験を受験するためには、次の2つのうちのいずれかの条件を満たす必要があります。
・3年以上介護の実務経験(実働540日以上)を積み、「実務者検定」を修了する。
・厚生労働省指定の「介護福祉士養成校」を卒業する。

以上2つの条件を満たして、初めて国家試験を受験する事ができます資格勉強の際は、独学は厳しいので、「ユーキャン」や「資格の大原」などを活用するのがオススメです。

ヘルパーに必要な資格

前述の通り、ヘルパーになるために国家資格は不要です。しかし、誰でも簡単になれるわけではありません。
以前は「ホームヘルパー2級(30時間の実習含む)」が必要でしたが、現在は、それに代わるものとして「初任者研修」が必要になりました。変更点としては、30時間の実習が廃止され、座学の授業時間が増えました。授業時間は最低でも89.5時間以上と定められています。

結論

介護士の資格は国家資格なので、ヘルパーの資格と比べると、難易度は格段に高いです。しかし、超狭き門というわけではないので、先述の通り、この先正社員として働く意思があるのであれば、介護士の資格を取得するのが良いでしょう。

介護業界 総括

今回の記事の結論としては、介護士とヘルパーに勤務内容や勤務地に大きな違いはないものの、介護士は国家資格を有しているため能力を評価され、給与は高くなるということです。

高齢化の進行に応じて、人手不足がますます深刻化する介護業界。今現在の高齢化率は28%ですが、40年後には40%近くにまで上昇すると考えられています。そうなると、今以上に介護業界への需要は高まります。しかし、需要と供給がうまくマッチしていないのが現状。介護士やヘルパーの数を増やすには、やはり給与面の改善が必要です。

これを受けて国は、勤務年数10年以上の介護士に、毎月8万円の補助金を付与する政策を打ち出しました。次に必要なのは、「介護士・ヘルパーのやりがいを日本中に伝えること」ではないかと考えます。やりがいがある仕事だということが十分広まれば、介護士・ヘルパーの数は上昇に転じるのではないでしょうか。

この記事をご覧になっている方の中には、未来の介護業界を担っていく方がいるはずです。そんな方たちに少しでもお力添え出来れば幸いです。

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