一昔前までの日本では、年功序列で終身雇用というのが一般的でした。
しかし、近年ではそれらの日本式の企業慣行が時代に合わなくなってきていると言われます。それにより、人材の流動化が活発になってきており、人手不足を背景に人材の奪い合いも行われています。
そのため、就職活動中の大学生は、転職することを見据えた上で企業を選ぶことも多いのが現状です。
では、転職に有利な業界とはどこがあるのでしょうか。特定のニッチな分野で役立つスキルではなく、汎用性の高い能力を身につけられる業界にいると、基本的にどこに転職しても活躍できます。
目次
転職に強い業界
ここではコンサルとITの二つの業界を転職に強い業界として選びました。
転職を見越した上でのファーストキャリアはこの辺りの業界にするのは合理的な選択だと考えられます。
コンサルティング業界
コンサルティングファームで働いている人は市場価値が高くなるのが一般的です。
コンサルの役割は、クライアントである企業の問題や課題を解決し、利益の増大をもたらすことです。
つまり、世の中を動かしている企業というもののビジネスモデルや、その課題について深い見識を持つことができるのです。この世には数え切れないほどの企業がありますから、コンサルティング能力はそれら数多の企業で活かせる能力であると言えます。
また、特に外資系のコンサルティングファームは重宝されます。
志望者は日本でもトップクラスの大学が多く、実際に採用される人も東大、京大、早稲田、慶應などの日本を代表する大学の卒業生ばかりです。外コンは激務かつ高給で知られておりますが、それは正しいようです。
働き方改革、ワークライフバランスが叫ばれる世の中で、少しずつ企業体質も変わっていますが、未だに残業は多いです。
しかし、顧客が会社であり、そのビジネスの中心部に関われることは大変貴重な経験となります。
もちろん、クライアント企業の存続に関わる業務ですから、仕事量は膨大ですし、勉強しなければならないことも多いです。クライアントの業界について知識がなければそれを身に付けることから始まります。
このような多忙な日々を過ごすことによって、業務を効率的に、本質を見極めながら行うことができるようになりますし、より経営者の視点から企業を見られるようになります。だらだらと時間だけが過ぎる会議なんかはコンサル業界ではご法度です。
これだけの業務をこなすので、新卒でも年収500万円超えは普通で、数年経てば1000万円に到達するほどの高給業界であります。
更に、コンサル業界は社内研修の仕組みも充実しています。
有能な人材を採用することが企業の成果に直結するので人材育成には力が入っています。入社時の研修制度からオンラインでの研修プログラム、個人指導など多岐にわたりますので、成長できる環境があることに間違いはないでしょう。
IT業界
今をときめくIT業界も重宝されることが多いです。
ITはInformation Technologyの略で、日本語だと情報技術となります。とても抽象的な言葉なので、このITの範囲には多くの企業があります。
Web業界や通信業界、ハードウェアにソフトウェアなどが入ります。
そのため、現在世界でトップのMicrosoft, Apple, Amazon, Facebook, Googleなどの企業は全てIT企業と言えます。
IT業界をはじめ、様々な業界で求められている能力には、プログラミングスキル、Webマーケティングスキル、ライティングスキル、データ解析スキルなどがあります。
プログラミングスキルについては、特に日本では大変重宝されます。ネット上で何をするにしてもプログラミングがなければ始まりません。一つでも言語を書ければ年収は一気に上がり、転職先にも困らないでしょう。
現在ではYouTubeに言語について解説している動画や、フリーの学習アプリなども多くありますので、それらを活用してスキルを高めるのも良いでしょう。
Webマーケティングスキルは、商品やサービスをより多くの人に買ってもらうための施策を打つスキルですので、とても実践的です。自社のホームページを検索結果の上位にもってくるにはどうしたら良いか考えたり、広告を出したりして、収益向上を目指します。
現代社会はネットが中心になりつつあるので、そこで儲けるための能力が重宝されるのは言うまでもないでしょう。ライティングスキルは比較的地味に思われるかもしれませんが、大切なスキルです。
ウェブサイトは文章で構成されていますし、広告も文字が無ければ伝わらないでしょう。文字を書く能力はお客さんの購買への道しるべとなるのです。
データ解析は今最もアツイ分野の一つです。IoTにより、全ての家電や自動車など様々なデバイスがインターネットで繋がり、スマホとも連携するようになっています。
そうすると、人々の一つ一つの作業はネット上にデータとして残るようになります。こうした膨大なデータ、ビッグデータを解析することで新たなサービスの開発につなげたりします。
AIや機械学習とも関連の深い分野で、人材不足が甚だしいので、データサイエンティストは大変市場価値が高いです。
転職先として人気の業界
転職先としての人気は、業界ごとに順位付けをするのは難しいです。
というのも、転職したい企業には、自動車産業、IT産業、航空産業など多岐に渡って様々な企業が挙げられており、特定の業界が特に人気というわけではなさそうです。
共通点として挙げられるのは、どれも日本または世界を代表する大企業だということです。
転職先として人気の企業
では、人気の企業はどこなのでしょうか。
dodaの調査を参考に、人気の理由や企業情報を紹介していきます。
1位.トヨタ自動車
1位には日本を代表する企業であるトヨタ自動車がランクインしました。
選ばれた理由として最も多いのは給与や待遇が良さそうというものでした。他の人気業に比べて多かった意見は、安定していて長く働けそうというものでした。
長きにわたり日本を代表してきた企業ですから、これからもトップ企業であり続けるだろうというのは多くの人が思うところなのでしょう。
しかし、近年、自動車業界を取り巻く状況は大きく変化しています。
まず、企業的な観点での変化だと、テスラの出現があります。まだ日本ではあまり見かけませんが、イーロンマスクがCEOを務めるアメリカの電気自動車会社のテスラ・モーターズが急速に伸びています。
電気自動車のみの販売で、自動運転など高い技術力とデザイン性、ブランド力などで今や大手自動車メーカーと同じ規模の時価総額を有しています。
元々は1000万円以上の高級車しかありませんでしたが、大衆向けのモデルの発売も開始しますので、日本でも普及することが考えられます。
新規参入が難しいと考えられていた自動車業界にテスラの存在は新たな風を吹き込んでいます。
また、自動車産業全体で見ると、自動車メーカー以外の企業も自動車製造に乗り出しつつあります。
代表的なのはGoogleです。
Googleは子会社のウェイモという会社で自動運転車の開発を積極的に行っており、公道での走行実験では他社の追随を許さないほどのテストを積んでいます。5年後、10年後、自動運転がメインの時代になったとき、今までの自動車メーカーは存続の危機に瀕しているかもしれません。
2位, Google
惜しくも1位はトヨタ自動車に取られましたが、僅差の2位はグーグルでした。
選ばれた理由として特徴的だったのは、やりがいのある仕事ができそうだという点でした。成長著しい企業ならではの理由でしょう。
グーグルは圧倒的な検索エンジンのシェアを背景に、広告収入によって多大な収益を挙げています。他にもGoogle playでのアプリ販売に伴う手数料、スマートフォン販売なども行なっていますし、YouTubeもグーグル傘下の企業です。
2019年4月時点では世界時価総額ランキングでも世界第4位につけており、ITプラットフォーマーとしての地位を確立しているといってよいでしょう。
人材獲得にも力を入れている企業ですので、優秀な社員に囲まれて仕事ができるのも魅力の一つと言えます。
3位.ソニー
1,2位とは差が開き、3位にはソニーが入りました。
給与、やりがい、スキルなど全体的に評価されているようです。トヨタと同じく世界でも名の知られる有名企業です。創業者の盛田昭夫さんは今でも大変尊敬されている経営者です。
CMOS位エージセンサやゲーム機、ウォークマンなどのハードウェアが強い企業ですが、銀行業、保険業、音楽業、不動産業にも参入しています。
子会社の数も日本一ですから、安定を見込まれている部分もあるのでしょう。
4位.全日本空輸(ANA)
大学生の就職先としても人気のある航空業界からランクインです。
選ばれた理由として、やりがいのある仕事ができそうという項目を選んだ人がとても多かったです。
確かに、空港で働く全日本空輸のスタッフさんは皆感じが良いですし、輝いて見えます。そんな華やかさをもつ航空業界に憧れる人がANAに転職したいと思うのは納得できます。
会社としても業界では国内最大規模の企業ですし、海外からの評価も大変高いです。IT企業の脅威にも晒されていませんので、当面は安定した経営が見込まれるでしょう。
5位.楽天
5位には日本屈指のIT企業である楽天が選ばれました。
その理由として、将来性があることへの投票が多かったです。三木谷さんが創業し、日本最大のECサイト会社としてその地位を確立しました。
その後はオンラインの株式販売やクレジットカード事業、プロ野球球団の買収、携帯電話業界への参入など広く展開しています。
ECに関してはAmazonに押されていますが、その他のサービスからも多くの収益を上げていることは時代の流れが早い現代では高く評価できるでしょう。
以上、転職先として人気の5社を紹介いたしました。
これらの会社に限らず、大企業に転職するのは決して簡単ではありません。時代に合わせて求められるスキルも変わっていきますから、それが何なのか見極め、自分の能力を高める必要があります。