キャリアアップを目指す看護師が取るべき資格大全

「白衣の天使」と呼ばれる、今も昔も根強い人気を誇る職業である看護師。そんな看護師になるためには、実習ができる大学や専門学校を卒業し、国家試験に合格する必要があります。

「国家試験受かるために頑張ってきたのだから看護師はキャリアアップをしなくてももう十分キャリアを積んでいるのでは？」といった疑問を持つのもおかしくはありません。しかし最近ではキャリアアップを目指す看護師が増えてきているようなのです。

そこで今回は看護師がキャリアアップを目指す理由とキャリアアップのためのおすすめの資格を一気に紹介します！

なぜ看護師はキャリアアップを目指すのか

管理職のポストが限られているから

看護師がキャリアアップを目指す理由は管理職への昇格が難しい、という現実にあります。
看護師の場合、看護部長や看護師長などといった管理職のポスト数が限られており、自ずと昇格が難しくなってしまうのです。そのため、管理職に昇格するためには経験やスキルに加え、専門的な資格の有無も大きく影響してくるのです。

看護師がキャリアアップを目指す理由はそこにあったのです。しかしそれだけでは不十分です。管理職への道が限られている上、同じくキャリアアップを目指す看護師は多くいます。数少ないチャンスを逃さないように常にアンテナを張っておく必要があります。

おすすめの資格紹介

ではここから、キャリアアップを目指す看護師におすすめの資格を紹介します。

以下がおすすめの資格です。

キャリアアップを目指している看護師のみなさんはどの資格が自分に必要なのか、考えてみてください。

認定看護師

認定看護師は日本看護協会による、看護の質の向上とそのケアの広がりを目的として1995年に作られた制度です。

特定の看護分野においての実践や指導、相談といった役割を担っています。特定されているケアの種類は集中ケア、緩和ケア、救急看護、排泄ケアなど多岐にわたります。

資格を取得するためには日本における看護師の資格を有していること、看護師としての経験が5年以上あること、認定試験への合格などがあります。資格の取得までは段階を多く踏む必要がありますが、認定看護師の資格を取得することにより、医師からの信頼が厚くなったり、医療従事者に向けた勉強会を行うことが出来たりと、指導的な立場に立つことができます。

昇格のためのキャリアアップを目指すのであれば是非取っておきたい資格です。

専門看護師

2つ目は専門看護師です。

専門看護師とは、保健医療福祉の発展に貢献すること、看護学の質の向上を主な目的とし、日本看護協会が制定した制度です。認定看護師がカバーする特定の看護分野に加え、倫理調整、研究、教育などの役割も担います。

専門看護師の資格を取得するためにはまず看護系の大学院の修士課程を修了しており、日本看護系大学協議会が定めている専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得していること、臨床経験が5年以上あることなど、様々な条件を満たさなくてはいけません。

この資格を取得するためには膨大な時間とお金がかかります。
しかしこの資格は医療スタッフへのケアを行うことも可能で、病院内外で活動できることから、認定看護師と並んで持っていると大きな武器になる資格の一つです。

臨床心理士

3つ目は臨床心理士です。

「聞いたことある！」という人も多いのではないでしょうか？臨床心理士は臨床心理学に基づき、その知識や技術を運用して人の心にアプローチするものです。

その資格の特徴から臨床心理士は“心の専門家“とも呼ばれています。この資格は病院だけに留まらず、行政機関の公務員としての心理職などほとんどの心理専門職で使える資格です。
看護師を辞めたとしても使える資格の一つです。

この資格を取得するためには日本臨床心理士資格認定協会の指定を受けた大学院を修了するか、臨床心理士を養成する専門職大学院を修了しなくてはなりません。
2年間の通学が必要であるため、その2年間は看護師としてフルタイムで働くことは難しくなるでしょう。

救急救命士

ドラマの題材になることも多い救命救急士も、看護師のみなさんにおすすめしたい資格の1つです。
救急車に同乗し、搬送中に医師の指示に従い、気道確保や心肺蘇生、薬の投与などを行います。

ほとんどの救命救急士は消防官として消防署で勤務していますが、現在は看護師もこの資格を取得する人が増えています。
救命救急士の資格の取得のためには文部科学大臣指定の学校か厚生労働大臣指定の救命救急士養成所で最低2年間知識や技能を学ぶ必要があります。

看護師としてできる医療ケアに加え、救命救急士としての仕事も可能になるため、職場からさらに必要とされることは間違いないでしょう。より命に関わる仕事をすることになるため、責任は重くなりますが、それ以上のやりがいを感じることができるでしょう。

助産師

新しい命の誕生のお手伝いをする助産師もまた、キャリアアップを目指す看護師のみなさんにはおすすめしたい資格の一つです。

この助産師という資格は看護師の上位資格として知られています。
妊婦や産後の女性の体調管理、育児指導、新生児の管理まで幅広い業務を任されます。

助産師の資格を取得するためには大学に通って必要な過程を履修するか、助産師養成所という施設で教育を受けることが必要です。これらを満たして初めて国家試験の受験資格を得ることができます。
そしてその国家試験に合格して初めて助産師の資格を取ることができます。
新生児のケアなどを行う現場で重宝される資格であり、助産師という刺客があれば独立をしてクリニックを開くこともできる、将来有望な資格です。

移植コーディネーター

この「移植コーディネーター」という資格を聞いたことがある人は少ないのではないでしょうか。
移植コーディネーターとは、臓器の移植が円滑に行われるように医療機関やドナーの架け橋になるものです。

移植コーディネーターになるためには日本臓器移植ネットワークが認定した試験に合格しなくてはなりません。
その試験の受験資格は医療の国家資格を有している人に限られているため、一般人にあまり知られていない資格ではあります。

ケアマネジャー

ケアマネジャーは介護の現場での専門家であり、看護師を生業とするのであれば是非欲しい資格です。

ケアマネージャーは5年以上の看護師としての経験に加え、900日以上の実務経験が必要です。
その経験を積んだ後に試験を受け、合格すればケアマネジャーになることができます。
高齢者の多い病棟がある病院などではとても役に立つ資格です。

介護福祉士

介護福祉士もおすすめしたい資格の一つです。
介護現場における生活援助や身体介護、それに加えて患者の心のケアを行う専門家として認められている資格です。

看護師の場合、介護施設や病院などで3年以上の勤務で経験を積むか、介護福祉士を養成する施設を卒業した上、国家試験に合格することができれば介護福祉士の資格を取得できます。

老人ホームやヘルパーステーションなどの高齢者の多い現場におけるリーダーとして活躍することが求められているのがこの介護福祉士の特徴の一つとして挙げられます。

医療現場においても、高齢者を対象とした介護について明るい人材として重宝され、看護師がこの資格を持っていると高齢者の対応に関しては特別仕事ができるようになることでしょう。

保健師

次におすすめしたい資格である保健師は看護師の上位資格として知られています。

国家資格である看護師の資格を取得することに加え、保健師として必要な科目の履修、もしくは保健師の養成所を卒業し、国家試験に合格することができれば手に入れることができる資格です。

保健師の仕事は病気や怪我などを負ってしまった患者の看護ではなく、そうならないための予防を目的とした活動が主な業務です。

その活躍場所は病院だけに留まらず、企業専属の保健師としてその企業の従業員の健康維持に勤めたり、行政で保健指導を行う立場になったりするのが典型的な働き方といわれています。

呼吸療法認定士

最後におすすめするのは呼吸療法認定士です。

呼吸療法認定士とは、呼吸に関する専門技術と知識を取得した医療従事者に与えられる資格で、日本マス化学会・日本胸部外科学会・日本呼吸器学会の3つの学会が合同で創設した資格制度のことです。

正式名称は「3学会合同呼吸療法認定士」です。
医療の現場での経験が2年以上あれば、看護師だけでなく理学療法士や臨床工学技士も資格を取得することが可能になります。

今日までの5年以内に認定委員会が認めた学会や講習会に参加し、試験で12.5点以上の点数を取得しなくてはなりません。

その後の2日間に行われる研修を受けることで認定試験の受験資格を得ることは可能ですが、この2日間の研修にはある程度の定員が設けられており、申し込みを開始した後すぐに締め切られる場合も。呼吸療法認定士の資格を目指す際には早めに申し込みを行うようにしましょう。

キャリアアップの方法は様々！

ここまでキャリアアップを目指す看護師のみなさんにおすすめする資格を紹介してきました。果たして自分の求めるものは見つかったでしょうか？

一口にキャリアアップといってもそのやり方は様々です。ここでは「資格」という視点からキャリアアップを提案しましたが、決してキャリアアップのための手段がこれだけというわけではありません。自分のしたい働き方に合ったキャリアアップの方法を探してみましょう。

その結果としてより多くの患者さんを救えたり、自分の収入が上がったりと、良い影響が出てくるといいですね！