転職の面接のときに必ず聞かれる志望動機。
その企業をどうして選んだのかについて、説明するのは難しく、
素直に給料や残業、有給休暇の観点から答えてしまうと面接官に悪い印象を与えてしまうこともあります。
この記事では、転職の面接時に志望動機を聞かれたときの回答例を紹介していきます。良い例、悪い例を具体的に挙げていき、面接を控えている方々は、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ志望動機を聞かれるのか
就職するときに必ず聞かれる志望動機ですが、どうして志望動機を聞いてくるのかについて考えたことはありますか?理由はいくつかありますが、簡単に言うと、企業は初対面の人にうちの会社と合ってるの、ちゃんと働いてくれるのを測るため、志望動機を聞くしかないからです。では、企業は一体志望動機から何を読み取るのか?
① 会社の志望度を測るため
この答えを恋愛に変えて説明しましょう。あなたのことを好きだと告白してきた人がいるとします。
そのとき、あなたはどうして自分のことを好きになったのか気になりますよね。ただ単に彼女、彼氏が欲しくて告白してきたのか、本当にあなたのことが好きで告白してきたのか。告白してきた理由によって、その人とお付き合いをするか変わってくるはずです。
就職活動は恋愛と似ている面があります。
同じ業界でもたくさんの競合している会社が存在しています。そうであるにも関わらず、どうしてこの会社を選んだのか。この選んだ理由が明確でないと企業としては「どこの会社でも就職できればいいのではないか」と思ってしまいます。
特に理由もなく志望してきた人だと、入社してからすぐに辞めてしまう可能性が高いです。せっかく新人研修にお金と時間をかけたのに、すぐ辞められてしまっては企業も困りますので、志望動機を尋ねることで、この会社に対する熱意を測っているのです。それと同時にこの人なら採用してもすぐに辞めないという信頼をも、候補者に抱くようになるのです。
②会社の社風に合うかを見る
たとえ志望動機が明確であったとしても、社風と候補者の考え方が合わなければ両方にとって不利益となってしまいます。
会社の社風はさまざまですが、相手の意見に賛同したうえで自分の意見を述べる雰囲気のある会社に、人の意見を否定し自分の意見をはっきりと主張する人が入ってしまったら、その入った人自体が浮いてしまう可能性もあります。浮いているなと感じたら、その会社を辞めたいと思う人が多いはずです。
加え会社の社風に合わないと、その人が持っているスキルを発揮することが出来ません。このようなミスマッチは、チーム又は会社全体のモチベーション、生産性の低下にもつながってしまいます。
このようなミスマッチを防ぎ、長く活躍してくれる人材を確保するためにも、志望動機を尋ねるのはとても大切なことなのです。
志望動機の作り方
志望動機は、熱意を持って長い間働いてくれる人だと面接官に信頼されるためにとても重要なものです。それでは、実際に志望動機を作るとき、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか?ここからは志望動機の作り方についてポイントを押さえながら詳しく紹介していきます。
①自分の経験をどう活かせるのを伝える
新卒と違い、転職では、前の職場で培った能力を自社で貢献できるのかについてアピールする必要があります。そのため以下のことについて明確に伝えるようにしましょう。
・これまでどのような仕事を行っていて、どんなことを経験したか
・転職したいと思っている会社で、培った経験をどのように活かせるのか
これらを志望動機に入れることで、今までの職業経験について伝えられるだけでなく、自分を雇うことで得られる企業側の利益についてもアピールすることが出来ます。
②なぜその企業を選んだのかについて伝える
似たような仕事を行っている企業は全国にたくさんあります。そのため、「どうしてこの企業に応募したのか」について論理的に説明できないと、理由もなくこの企業を選んだのではないかとマイナスの印象を与えてしまいます。
企業を選んだ理由を考えるのは難しいと思う方もいらっしゃると思います。給料や有給休暇の取得率の面だけからその企業を選んだと言うと、白い目で見られてしまうことも。
企業の強みなどを、ホームページや会社説明会から学び、その点について明確に伝えるようにしましょう。
③退職から転職への流れについて明確にしておく
なぜ退職し転職することを決めたのか。その人を雇うかどうかを判断するうえで、これはとても重要なことです。
もし退職理由が、給料が安かったからなど薄い内容であると、自社に来てもそのような理由で辞めるのではないかと思われ、評価がかなり悪くなってしまいます。こうならないようにするためにも、どうして退職し転職を決めたのかを筋道立てて説明できるようにするのは、とても重要なことなのです。
・今の仕事についてもっと詳しくなりたいので、活動を広げるために転職したい
・今までの培った経験を活かながらも新しい分野に挑戦したい
理由は人それぞれだと思いますが、現在の仕事を将来のキャリアに活かして活躍したいことがアピールできれば、面接官から積極的でチャレンジ精神のある人だと高評価を得ることができます。
転職の面接での志望動機の回答例
ここまでは志望動機の作り方や、伝え方についてポイントを押さえながら紹介してきましたが、結局どうやって志望動機をつくればいいかわからないという方も多くいらっしゃると思います。
そのため、ここからは具体的な回答例について紹介していきます。まず、志望動機でよくやりがちなNG例をいくつか紹介します。
志望動機でありがちなNG例
みなさんが作った志望動機が、以下の要素を含んでいませんか?
これらのことが書いてあると面接官からの印象がかなり下がってしまうため、今すぐ書き直しましょう。
①「御社で勉強したい、学んでいきたい」
現状に満足せず、今後も成長していきたいということを伝えるために、よく言いがちなこの言葉。しかし、この言葉は積極的に物事に取り組むという良い意味でなく、会社を学校と勘違いしていると悪い意味で捉えられてしまいます。
会社は、学校ではありません。人事が求めているのは、入社した後にすぐ実践力となる人です。この点を取り違えないように注意してください。
②「福利厚生がしっかりしている、有給休暇が取れる」
福利厚生がしっかりしているかは、会社を選ぶ上でもちろん大切です。福利厚生がしっかりしていることを強みとしている会社もあります。
しかし、「残業が少ないから」「有給休暇の取得率が高いから」ということを前面に出すと、自分の会社より残業が少ない会社があったらすぐ辞めるのかと思われてしまいます。
これを一番の理由としてしまうと、働く意思を感じてもらうことができません。志望動機は、基本的にその企業の事業内容・社風に照らしたものにしましょう。
③「前職は残業が多く疲れてしまった・人間関係が複雑だった」
面接ではすべてのことを正直に話せばいいというわけではありません。前職の悪口を言ってしまうと、面接官からの評価がかなり悪くなります。
この人は、うちで働いても自分の思い通りに事が進まないと会社を辞め、また転職先で悪口をいうのではないかと思われてしまいます。
基本的に面接の場でネガティブなことを言うのはご法度です。以前の会社より士制度が良いと思った場合には、「御社の○○の部分が強みだと思った」というように、ポジティブな表現で伝えるようにしましょう。
④「地元で働きたい・家から近いから」
企業の場所を志望動機として挙げるのはNGです。
アルバイトであったら家から近いといえば、交通費もかからずたくさん勤務してもらえるとプラスのイメージを持ってもらえるでしょう。
しかし、転職活動では異なります。「地元や近場で働きたいなら、うちの企業でなくてもたくさん企業はあるよね」と、家から近いから入社したいという理由は、仕事への熱意がない人だと思われてしまいます。
⑤「人を助けられる仕事がしたい・マーケティングの仕事がしたい」
この志望動機のどこが悪いかおわかりになりますか?一見すると何の問題もない志望動機のように思えますが、
これらの表現では、どうしてその会社を志望したのかが抽象的でよくわかりません。
人の役に立つ仕事を行っている会社はたくさんあります。
つまり、この志望動機はどこの会社でもあてはまる理由になってしまっているのです。転職の面接では、「どうしてその会社でなければいけないのか」について伝える必要があります。
漠然とした理由にならないように、企業の強みなどをきちんと研究しておくようにしましょう。
志望動機のお手本
ここからは、志望動機のお手本についていくつか紹介していきます。
このお手本を参考にして、自分が伝えたいことが面接官に伝わる志望動機を作ってみてください。
お手本①
私はシステムエンジニアになる前から、「自社のアプリケーションの開発に携わっていきたい」と思っておりました。
そのため、自分でアプリケーションを企画する練習を長い間、積んできました。前職では、アプリケーションの修正に関わってきましたが、既に存在するアプリケーションの直しを行うというものでした。
そこで、徐々に自分で新しくアプリケーションを開発したいと思うようになりました。そんな中、御社の求人サイトで「新しいアプリケーションの開発に携わる方募集」という文言を見つけ、ぜひ御社で働きたいと思いました。今までの経験を活かしながら、ユーザーに喜んでもらえるアプリケーションを開発したいです。
お手本②
私は、御社で製品の開発に関わりたいと思っております。
これまでは、スポーツ用品の販売代理店で営業を行ってきました。仕事をしていく中で、お客様が喜んでくださる機会が多くありましたが、それと同時に、「もっとこうなればいいのに」というお客様の要望もたくさん伺いました。
販売代理店では、このようなお客様の声を実現することはできません。そのため、新たに製品の開発に携わりより多くのお客様を笑顔にしたいと思いました。製品企画について豊富な知識を持っていらっしゃる御社でなら、今まで私が培った経験を活かし、お客さんの目線に立った商品を開発することが出来ると思っております。
この2つのお手本は、今までの仕事で培った経験を転職先の仕事で活かしていきたいということが、明確に伝わるものになっています。
「前職で足りないと感じた部分を、転職先では補える」という枠組みで書いていくと、面接官がわかりやすい志望動機を作ることが出来ます。
志望動機を書く前にまずは自己分析を
この記事では、面接官に好印象を与えられる志望動機の作り方について紹介してきましたが、いかがでしたか?
「この会社でなければ自分のやりたいことができない」ことが伝わる志望動機を作れると、面接官からこの人を採用したら、会社の即戦力となって働いてくれるという信頼を得ることができます。
志望動機を書く前に自己分析をすることで
・前職で学んだことを転職先で活かしていきたいという明確な転職の理由
・転職先で積極的に仕事に取り組みたいという熱い姿勢
もはっきりわかるようにになってきます。
この2点については必ず、言及するようにしましょう。
みなさんの転職活動が上手くいくことを応援しています。